45~64歳は注意!浴室事故死が30代の8.7倍で早めの対策が必要

45~64歳は注意!浴室事故が30代の8.7倍で早めの対策が必要 浴室リフォームの注意点

実際に起きた入浴中の事故

冬場に事故が増えるヒートショック

特に寒くなる冬場に掛けて、脱衣室や浴室の室温とお湯の温度との温度差が大きいと寒冷ストレスにさらされ易く、 血圧や脈拍数が上昇し、心臓や血管に負担を与えるため、事故の危険性が高くなります。

病院に運ばれた時の体温測定で40度以上を示す例から、 高齢者の中には高い温度での入浴で体温が上がっていることを自覚できないことがあります。

このことから熱中症とも呼べるような病態により、気を失いおぼれてしまうのです。

これらは、浴槽内における意識障害、気を失うことを早く発見すれば、入浴中の急死は防げると考えられます。

交通事故よりも多い浴室の死亡者数

(PDF)消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています」より引用-

厚生労働省の調査で高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数、家や居住施設の浴槽での溺水が原因の死亡者数は「交通事故」の死亡者数より多くなっています。(平成23年以降)

「45~64歳」から浴室での死亡者数が上がり始める

健康長寿ネットより引用

平成28年の家庭の浴槽での溺死者数を年齢別にした図です。

65歳以上の高齢者数は4,756人で、家庭の浴槽での溺死者数全体の約9割を占めていることがわかります。

また「45~64歳」からは溺死者数が「30~44歳」の8.7倍になっており、「45~64歳」での早めの対策が必要だとわかります。

実例でみる浴室事故の実態

高槻市事例(平成28年~平成30年の市内入浴中の突然死者数)

高槻市の過去3年間の自宅で入浴中におきた突然死の人数です。

1年を通してみると寒い時期に発生しています。

 平成28年 51人
平成29年62人
平成30年43人 (うち65歳以上の高齢者は95%に当たる41人)

高槻市消防本部のHPより引用

【高槻市の過去の人口データ】

・平成28年の人口は35万4216人

・平成29年の人口は35万3563人

・平成30年の人口は35万2496人

※高槻市役所より引用

新潟市事例(令和4年度の入浴が原因の死亡者数)

令和4年度、市内349名が入浴時の体調変化で救急車を要請し、うち136名が死亡しています。

新潟市役所のHPより引用

消費者庁公表資料の入浴中の事故事例

令和元年 12 月
80 歳代女性、死亡    
入浴して 20 分後くらいに様子を見に行くと浴槽内で意識が無かった。
手動による追い炊き式の風呂釜であり、お湯はかなり熱い状態であった。
顔面・前胸部・背部・臀部・大腿部後面にⅡ度8の深熱傷があった。
令和元年12月、
80 歳代男性、死亡 
自宅で入浴中、追い炊きをした際に高温になり過ぎたが、浴槽から出られずに熱傷を受傷した。
家族が患者を浴槽から救出した。
右下肢及び左下肢に熱傷Ⅱ度・熱傷範囲 10%あり。
背部に熱傷Ⅱ度・熱傷範囲3%あり。
右上腕部及び左上腕部に熱傷Ⅱ度・熱傷範囲 1%あり。

(PDF)消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています」より一部引用-

高齢者だけじゃない!転倒事故の事例

(関東地方在住 57歳女性、死亡)1月下旬、夫の就寝後に入浴した妻は浴室で転倒し頭を強打。発見後に救急車を呼び、数日後に死亡した。死因は脳出血。

S-LEAD JAPANのHPより引用

平成23年10月浴室で転倒しわき腹を浴槽に強打。
床に付着していた石鹸で滑ったことが原因で咳やくしゃみをするときに痛む。
平成29年11月飲酒後に入浴中、お風呂場で転倒し足趾第二趾(人差し指)を剥離骨折した。
平成30年1月お風呂場の浴槽で肋骨を強打。息を吸い込む、屈む、寝返り動作が響く。
病院で打撲と診断される。
平成31年11月お風呂場で転倒し左肩を強打。
病院で骨折と判明し上肢固定帯(腕つり)を1か月したが、上肢固定帯がとれても痛くて動かすことができない。
令和4年8月浴室で転倒し第1腰椎と第5腰椎を圧迫骨折した50代女性。
コルセットで固定し2か月経過しても背中が痛み日常生活や家事に影響がある。

安全に入浴するために実践できる5項目

  1. 入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
  2. 湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安にしましょう。
  3. 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
  4. 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
  5. 入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。

※高齢者や身体の不自由な人が入浴するとき、家族の方は、入浴が長時間になっていないかなど注意して下さい。

また、日本気象協会の気象予測情報ではヒートショック予報が発信されているので、ヒートショックリスクに注意しながら日々の対策をしましょう。(情報提供は気温の低くなる10月ごろから)

まとめ

交通事故よりも多い浴室での死亡者数の9割は65歳以上の高齢者となっています。

しかし45~64歳は30~44歳と比較して8.7倍の死亡者数になることから、入浴における早めの注意が必要なことがわかります。

また若くても滑りやすい浴室では転倒し骨折、打撲などの事故リスクがあります。

床材が滑りにくい素材に変更するだけでリスクをぐっと減らすことが可能です。

死亡者数が多い原因にあたるヒートショックは温度差によって引き起こされます。

浴室や脱衣場を暖めることはもちろんですが、すきま風や冷たい床、冷えやすい浴室をリフォームし気密性の高い温かな浴室にすることがもっとも安全性を高める方法です。

それには費用もかかるため、予算と事故リスクから自宅の浴室に必要なリフォームを検討してみましょう。

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